大判例

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東京地方裁判所 昭和42年(刑わ)1204号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕被告人Tの弁護人の公訴棄却の主張について

被告人Tの弁護人は、同被告人に対する本件公訴の提起が、本来なさるべき家庭裁判所の審判を経由しないでなされたものであるから無効である旨主張する。本件記録によると同被告人は昭和四二年三二二日午前零時三〇分頃、判示第一の(三)掲記の罪の嫌疑によつて緊急逮捕され、同月二四日に勾留されたものであるが、右勾留期間の満了前である同月二八日には成年に達する状況にあつたことおよびこの間にあつて捜査当局は、順次なされた被告人の本件各犯行についての自供に基づいて、その補強証拠を集める等捜査を続けたことが認められる。ところで検察官、司法警察員が少年の被疑事件を家庭裁判所に送致するには該事件の捜査を遂げた結果でなければならないから(少年法第四一条第四二条)、捜査に要する日時の必要なことは当然であつて、少年の年令が切迫している故をもつて右捜査を遂げないまま被疑事件を家庭裁判所に送致することは許されないところである。いま本件について見るに、被告人Tが逮捕されてから成年に達するまでの間は、逮捕の日を加えても六日間に過ぎないのである。そしてこの程度の日数では同被告人の本件各犯行の態度、回数および同被告人の経歴等に徴するとき、右の捜査を遂げるのに必要且つ充分な日数であるとはいい難いところである。仮りに捜査を遂げることができて家庭裁判所に送致し得たとしても、同裁判所が実質的な審判を行ういとまのないことは、まことに明瞭なところであつて、無意味な手続といわなければならない。弁護人の公訴棄却の主張はまさしくこのような無意味な手続を要求するところの空疎な観念論であるから到底左袒することのできないものである。(門馬良夫)

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